バニラオプションの高次グリークス(1) Totto

オプションの高次グリークスでTottoと呼ばれるものがあります。

http://en.wikipedia.org/wiki/Greeks_(finance)

上にURLを示したWikipediaのページにあるように、TottoはVommaを残存時間\tauで偏微分して符号を反転させたもの(すなわち,Vommaを-\tauで偏微分したもの)です。

ちなみにVommaは,Vega \nu をさらにボラティリティ\sigmaで偏微分したものです。
バニラオプションのVommaは,Black-Scholes式の設定においては,

 S \phi(d_{1}) \sqrt{\tau} \frac{d_{1} d_{2}}{\sigma}= \nu \frac{d_{1} d_{2}}{\sigma}
となります。

ここに,

 d_{1}=\frac{\log(S/K)+(r+\sigma^{2}/2) \tau}{\sigma \sqrt{\tau}}

 d_{2}=\frac{\log(S/K)+(r-\sigma^{2}/2) \tau}{\sigma \sqrt{\tau}}=d_{1} - \sigma \sqrt{\tau}

で,Sは原資産価格,Kは権利行使価格,rは無リスク資産の利子率を表します。

また\phi(x)は標準正規分布の密度関数で

 \phi(x) = \frac{1}{ \sqrt{2 \pi} } e^{-\frac{x^{2}}{2}}

です。

上にURLを示したWikipediaのページには,なぜかバニラオプションのTottoの式が示されていませんので,ここではそれを示しておきます。

バニラオプションのTottoは,Black-Scholes式の設定においては,

 -S \phi(d_1) \frac{\sqrt{\tau}}{\sigma}\left[\left( - d_1 \frac{\partial d_{1}(\tau)}{\partial \tau} + \frac{1}{2 \tau}\right) d_1 d_2+ d_1 \frac{\partial d_{2}(\tau)}{\partial \tau}+ d_2 \frac{\partial d_{1}(\tau)}{\partial \tau}\right] .

と表現されます。

ここに,

\frac{\partial d_{1}(\tau)}{\partial \tau} = \frac{1}{2 \sigma \sqrt{\tau}}\left[ r + \frac{\sigma^{2}}{2} - \frac{1}{\tau} \log(S/K) \right] .

\frac{\partial d_{2}(\tau)}{\partial \tau} = \frac{1}{2 \sigma \sqrt{\tau}}\left[ r - \frac{\sigma^{2}}{2} - \frac{1}{\tau} \log(S/K) \right] .

です。