これから何回かに分けてPASTAについて議論したいと思います。
PASTAと言っても,私が大好きでよく食べる食物のパスタのことではありません^^;;
ここで言うPASTAとは,待ち行列理論においてよく知られているポアソン到着に関する性質、
「Poisson Arrivals See Time Averages」,略してPASTAと呼ばれる性質のことです。
PASTAとは,大まかに簡単に言うと
定常ポアソン到着が,到着時にシステムの状態がある状態にあることを
観察する割合は,システムがそのある状態にある時間割合に一致する
ということになります。言い換えると,PASTAとは,
定常ポアソン過程の増加点でシステムを観測したとき
観測時点直前での事象平均は,時間平均に一致する
という性質のことです。
PASTAは,待ち行列の解析においては,到着が定常ポアソン過程にしたがう待ち行列システムにおいて,待ち行列長の定常分布を客の到着直前の待ち行列長の分布に関連付けるためによく使われます。
待ち行列システムの解析おいては,待ち行列長の定常分布を得ることの方が客の待ち時間の分布を得ることよりも簡単であることが多いです。そのため,まず解析によって,待ち行列長の定常分布を得て,それにPASTAを適用して,客の到着直前の待ち行列長の分布を得て,そこから客の待ち時間の分布を得るというアプローチがよくとられます。
次回から,数学的な定式化をきっちり行ってPASTAについて議論したいと思います。