前回の記事「確率論の基礎(1)」で,確率測度は,標本の部分集合からへの写像であって,標本からへの写像ではないことに注意して下さいということを言いました。
なぜ,標本からへの写像としないのでしょうか?
それは,以下の技術的な理由によります。
例えば,区間からランダムに数を1つ選ぶとします。
このとき,どの数も同様に選ばれるので,確率はすべて同じにしたいです。
しかし,には無限個(正確には,可算でもない)の数があるので,どんなに小さな正の確率を与えても,確率の和を1とすることができないことになります。
一方,その確率を0とすると,どこにも正の確率がないことになってしまいます。
この困難を解決するために,確率論では,確率を標本ではなく,標本の集合に対して定義します。
このことは,長さ,面積,体積などの大きさを測るときの基準に「点」に大きさを与えるのではなく,点の集合である直線,正方形,立方体に大きさを与え,それを基準に任意の図形の長さ,面積,体積を決めているのと同じことです。
次回は,-集合体と事象について解説します。