確率論の基礎(5)

前回の記事「確率論の基礎(4)」で,\sigma-集合体は「観測」にも密接に関連したものであると言いました。
ここまでは,\sigma-集合体が与えられていると考えてきましたが,例えば,数理ファイナンスへの応用の場合を考えると,投資家の投資戦略は「現時点までの観測」(から得られる情報)に基づいた戦略を取ることが出来るはずです。
そこで,投資家が現時点で持っている情報を表すために「観測」から作られる\sigma-集合体を考えることが必要になります。

このような状況を考える際に必要となるのが生成された\sigma-集合体です。

以下で生成された\sigma-集合体を定義します。

{\cal P}(\Omega)\Omegaのすべての部分集合の集まりとし,{\cal C}{\cal P}(\Omega)の部分集合族,すなわち,{\cal C} \subset {\cal P}(\Omega)である部分集合の集まりとします。

ここで,{\cal C}を含む\Omega上で定義されるすべての\sigma-集合体の集まりを考えます。
この集まりは,{\cal P}(\Omega)がその集まりに入っているので空ではありません。
また,これらのすべての\sigma-集合体の積は,やはり\sigma-集合体になり,それは{\cal C}を含む最小の\sigma-集合体になります。この\sigma-集合体のことを{\cal C}によって生成される\sigma-集合体と呼び,\sigma({\cal C})と表記します。

要は,部分集合の集まり{\cal C}\sigma-集合体になっていないかもしれないので,\sigma-集合体になるように必要十分な部分集合を加えて\sigma-集合体にしたものが\sigma({\cal C})であると考えるとよいです。